2025.08.01 松尾 朋虎 | ダイバーシティ・コミュニケーション
みなさんこんにちは、安田です。
トライアングル・トラストの専門家 指導・育成コミュニケーション能力トレーナー松尾朋虎先生ブログ
第22回テーマは「「伝える」ことの力――沈黙の代償と、対話の価値」です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こんにちは、指導・育成コミュニケーション研修を担当しています、松尾朋虎です。
先日、参議院選挙が行われました。街角では、選挙カーが名前を連呼し、SNSでは政策への賛否が飛び交う。そんな中でふと感じたのは、「結局のところ、私たちはどれだけ“伝える”ことを大切にしてきただろうか?」という問いでした。
私は1990年に社会人としての一歩を踏み出しました。当時はバブル経済の最後の華やぎが残る時代。ガソリンは90円台、給料も右肩上がり、レジャーにスキー、ディスコに海外旅行。どこか「言わずとも分かる空気」の中で物事が流れていく、そんな時代だった気がします。
けれど、それから30年。バブルが弾け、賃金は上がらず、ガソリンは倍の180円台。お米も、保険料も上がり、「努力すれば報われる」「働いた分だけ稼げる」時代ではなくなりました。副業、投資、節約…日々の暮らしは、気付けば“余裕”より“しのぎ”にシフトしています。
では、なぜ、ここまで変わってしまったのか。経済政策の迷走もあるでしょう。グローバルとのズレもあるでしょう。しかし私は、日本人の“伝える力の弱さ”も一因ではないかと考えています。
黙って耐える美徳が、沈黙の連鎖を生んだ
私たちは、どこかで「黙っていることが美しい」と教えられてきました。確かに、和を乱さない、耐える、察するという日本の価値観は、時に誇るべき文化です。しかし、それは「言わなくても通じる相手がいる」前提があってこそ。
現代社会では、その“前提”が崩れつつあります。むしろ、黙っていると「何も感じていない」「賛成している」と見なされる。結果として、クレームを出す一人の声が、多数派の沈黙を押しのけて通ってしまうことがある。
たとえば、除夜の鐘の中止問題。地域の風物詩として親しまれてきた年末の風景が、「うるさい」という少数の声で失われていく――そこに、多数派の“伝えなかった責任”があることを、私たちは見落としてはいないでしょうか。
外国人との共生も、「伝える」ことから
日本には今、過去にないスピードで外国人の定住者が増えています。文化も価値観も違う人々が隣人になるこの時代、より一層「伝える力」が問われています。
夜中の騒音、ごみの分別、地域の行事――不満を溜めて陰で愚痴をこぼすのではなく、「なぜ気になるのか」「どうしてほしいのか」を伝え、同時に「相手の背景」も聞き取る。そうした双方向の対話こそが、地域の安心を築く土台になります。
白票は想いを「伝えなかった」ことと同じ
今回、私は初めて開票立会人を務めました。想像以上に多くの白票がありました。「誰にも入れたくない」という意思表明としての白票という声も理解できます。ただ、制度上、それは“無効票”として数えられ、結果に影響を与えることはありません。
「誰でもいい」「誰にも期待していない」――その感情もまた一票として“伝える”ことができるはずです。たとえば、「この人ならまだマシ」という選択でも、それは意志の発信。意見を伝えない限り、政治は変わりません。逆に、声を上げる人だけが政策を動かすのです。
沈黙は、無視と紙一重
夫婦間でも、職場でも、子育てでも同じです。「何も言ってないのに、どうして?」ではなく、「何も言っていないから、伝わっていなかった」が正解です。
例えば、妻が「疲れた」と言ったときに、夫がうなずくだけで何も返さない。数日後、妻は家を出て行く。夫は言います。「何もしていないのに…」。けれど、それこそが問題なのです。「伝えない」は「存在しない」に等しいのです。
「伝える努力」「受け取る努力」を、今日から
コミュニケーションとは、ただ話すことではありません。相手を知り、自分を知ってもらおうとする“姿勢”です。そして、伝える側だけでなく、受け取る側にも努力が必要です。
伝え合うという行為は、互いの存在を認め合うことから始まります。伝えなければ、誤解されるか、存在すら気づかれないか。だからこそ、もっと「伝える」ことに勇気を持ち、「聞く」ことに敬意を持ちたいものです。
今、どれだけツールが発達しても、人が人と生きる以上、コミュニケーションは永遠の課題です。そして、それを訓練できる場所が、ここトライアングル・トラストにはあります。
今日もまた、自分の思いを誰かに「伝える」ことから。
今日も一日、頑張りましょう。
指導・育成コミュニケーション能力トレーナー / 演劇人
松尾 朋虎
▶松尾 朋虎 先生 プロフィール
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ダイバーシティ支援や、指導・育成コミュニケーションに興味のある方は、
トライアングル・トラストまでお問い合わせください。
~組織づくりが企業を変える!~
トータルプロデューサー / 課題解決コンサルタント
安田真浪
————————————————————————————————————————-
お問い合わせや弊社事業に対する詳細説明など面談をご希望の方は、事務局までご連絡ください。
トライアングル・トラスト事務局 info@triangle-trust.jp
————————————————————————————————————————-
▶YASUDA ISM(安田イズム)
※安田がプロデュースする取組み、考察ページです。
▶ 課題解決コンサルティングTRIANGLE TRUST
▶ LEGO®SERIOUS PLAY®技法と専用教材を用いたワークショップ
https://lsp.triangle-trust.jp/
▶イプロス
https://premium.ipros.jp/triangle-trust/?hub=157+4672154
▶Deliveru「新任人材育成担当者向け研修」
https://shop.deliveru.jp/triangle-trust/