【ダイバーシティ・コミュニケーション⑮】リアルと非リアル

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2024.12.20 コミュニケーションコンサルティングダイバーシティ中堅企業五人衆松尾朋虎

【ダイバーシティ・コミュニケーション⑮】リアルと非リアル

みなさんこんにちは、安田です。

トライアングル・トラストのスペシャル専門家チーム「五人衆」、

指導・育成コミュニケーション能力トレーナー　松尾朋虎先生ブログ第15回、

テーマは「リアルと非リアル」です。

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こんにちは、指導・育成コミュニケーション研修を担当している松尾朋虎です。

20241220_リアルと非リアル

先日の日曜日、私が脚本・演出を手掛けているシニア劇団浪漫座の公演が無事に終わりました。約500人の方にご覧いただき、大盛況のうちに幕を閉じました。今回のタイトルは『翔んで浜松』。どこかで聞いたことがあるような？と思われるかもしれませんが、これはあの有名な作品のオマージュです。ただし、メンバーから「ディスりは止めてほしい」との要望があり、脚本には自虐ネタを多く取り入れました。

脚本を書く際に最も大切にしているのは「リアリティ」です。演劇は本質的に絵空事ですが、その中にどれだけ現実味を感じさせられるかが重要です。今回はシニア劇団のメンバーに高校生を演じてもらうという設定にしました。高校生が地元をPRするプレゼン大会という内容ですが、実際、高校生の時には地元のものを題材にするのがダサいと感じたことはありませんでしたか？私も若い頃は、自分が日本に生まれたことを悔やむほど、外国に憧れていました。しかし、歳を重ねると共に、故郷や地元の良さに気付くようになりました。

私のコミュニケーション研修では、「理解」を深めることを目指していますが、地元ネタが出てくると参加者同士の親近感が増し、それにより理解が進むことがあります。以前、別の演劇の脚本家と話したとき、「地元ネタは絶対にやりたくない」と言っていた方がいましたが、私は逆に地元ネタを大切にしています。地方には地方の魅力があり、それを通じて観客とのリアルな共感を得ることができると信じています。

シニアが高校生を演じ、地元ネタでバトルを繰り広げるという設定は一見アンリアルですが、その中に人々のリアルな感情や共感が詰まっています。観客が「地元も魅力的だ」「愛着が湧いた」と感じてくれることが私の目標でした。演劇は単に観るものではなく、ライブとして立ち会うもの。皆さんの職場でも、少し俯瞰してみると、まるで劇場の舞台のように見えるかもしれません。

今回の公演で印象的だったのは、メンバーの中で体調を崩して出演を悩んでいた者が、最終的には車いすでも出演しようと決断したことです。毎年観に来てくださるお客様の中にも、この劇団に特有の空気感を楽しみにしてくださっている方がいます。劇団浪漫座は旗揚げから14年、最高齢は88歳のメンバーもいます。出来ないことが出来るようになる一方で、出来ていたことが出来なくなるというリアルな変化を抱えています。このリアルと非リアルが交錯する場こそが、演劇の魅力であり、私たちが日々直面する現実なのだと思います。

物事を悲劇とするか喜劇とするかは、演者と観客次第です。私が行うコミュニケーション研修では、「情報伝達」がテーマですが、日常の中でどれだけリアルに、または絵空事として物事を捉えられるかが重要です。視点を変えてみると、いつもの風景が違った色彩を帯びることに気付くかもしれません。ぜひ、その目で新しい視点を探してみてください。

今日も一日、頑張りましょう。

指導・育成コミュニケーション能力トレーナー / 演劇人

松尾朋虎

▶松尾朋虎先生　プロフィール