2024.12.12 ガバナンス・コンプライアンスコンサルティング中堅企業五人衆内部統制課題解決髙井 清司
みなさんこんにちは、安田です。
トライアングル・トラストのスペシャル専門家チーム「五人衆」ブログを、3月2日から公開しています。
今回は、ガバナンスコンサルタント 髙井清司先生の第17回、
テーマは「取締役としての私の『失敗と反省』」です。
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ガバナンス・コンプライアンス担当講師の髙井です。今回は、取締役として私の「失敗と反省」を聞いていただこうと思います。類似したケースに遭遇した時の転ばぬ先の杖的な内容になれば幸いです。
取締役として着任した時の会社の印象(短所)はBlog16でお話ししましたが、①待ちの姿勢、②自己防衛、③“親”への敷居が高いという3つをなくすことから始めようと思い、どのように“改革”していくかの検討を始めました。どのように考えたかについてまず、述べ、どう行動したかを次に述べたいと思います。
1.3つの短所をなくすにはどうするかの私見
①待ちの姿勢
・これは、指示を待つ姿勢が強いという意味です。これが、若手だけでなく大半の社員がそうかもしれないと危惧される状況だと感じました。その原因はなんだろうか。提案をしても、つぶされる、指示を待っていた方が安全だと多くの人が思っているといったところでしょうか。「言ったもん負け(提案者が損をする)」なんて言葉も聞きました。では、どう指示待ちから提案型の仕事の仕方に変えていけるか。仕事のあるべき姿を明確にするためには、私は、「方針体系をきちんと創り上げること」、“親”からの指示でなく、「会社のあるべき姿を創り上げること」が解決策の一つであると思いました。そして、「指示を待っているのではなく、自ら提案すること」そして、「皆で議論し結論づけることが社内の当たり前にしたい」と思いました。その“改革”の手段としては、「経営幹部が自由に提案する、議論する、それが会社の誇れる文化になるようにしたい」と思い、取締役会でなく、「経営会議のような役員が議論する場を作る」。これらが、私の“改革”への進め方の案でした。
②自己防衛
・自己防衛とは、何か問題が発生した場合、自分は悪くないとか等、自分の立場を正当化するようなことを意味しています。なぜ、自己防衛や言い訳を言うのでしょうか。やらされた仕事だから、問題が起きたときに個人として責任を感じられず、言い訳になってしまうのではないかと思いました。「自ら提案できることでこの欠点は改善していくのではないか。そういった環境を創ることもすべきこと」と思いました。また、「頑張った人は公平公正に評価される」といった人事評価制度も後押ししてくれるでしょう。
③“親”への敷居が高い
・グループ経営としてのあるべき姿に基づいた方針に従うことは当たり前です。それが連結経営、グループ経営です。しかし、事業環境の変化によって、進むべき道は変化するでしょうし、“子”は担当している分野では“子”が一番精通しているはずで、対等に議論しあう、良くなるために提案することは“親”にとってもメリットだと感じます。当然、“親”の中でも、“子”と対等に議論する環境をつくること、それも大切だと思いました。
2.解決策の為の具体的な施策案(私見)
・1.で述べたことについて、どう“改革”するかをまとめると以下のようになります。
ⅰ.方針体系の見直し、将来のあるべき姿を創る
ⅱ.役員が率先して社員をリードできるような提案を役員自ら行う為の議論の場を新設する
ⅲ.役員や幹部が率先垂範し、社員が会社を良くするために自由に議論し、自由に提案できるような環境を創る
ⅳ.頑張った人を公平公正に評価される人事制度づくり
ⅴ.職場の風通しを良くするような環境を創り上げる
ⅵ.“親”に対しても積極的に提案する姿勢で臨む
3.私の“変革”の動きの失敗と反省
・“落下傘”役員として着任後、多くの部長から話を聞きました。それは、実情を把握し、“変革”のシナリオづくりの為でした。
・そして、トップと相談した上で、役員会で“変革”の進め方のアウトラインを述べて、将来のあるべき姿づくりから始め、色々な“改革”を今からやっていきましょうとお願いし、具体的な進め方は議論しながら進めていきたいと役員会で報告をしました。
・しかし、取締役が全く率先垂範して動くような活動になりませんでした。これが私の失敗その1でした。なぜ、会社にとっていいことなのに協力してくれないのか?今までの長い歴史の中で、そう簡単に文化や風土は変わらないということでしょうか。上層部も変革にはリスクも伴うので、躊躇があるのでしょう、そう簡単なことではないようでした。私は、根回しということは好きではありませんが、急がば回れということで、役員に対して、個別に話し合いを続け、並行して、部長との懇談も続けました。徐々にではありましたが、“改革”に対する提案も議論が出来るようになり、経営企画の年度計画に“変革”の具体的な施策を織り込み、粛々と活動がスタートしました。
・ただ、上層部のマインドを変えることは並大抵な努力でもなかなか変わりません。そこで、オフサイトで1泊2日の「役員研修」をしようと進め方を作って、役員会で提案しました。しかし、色々と反対意見が多く、決まりません。それが私の失敗その2です。一人ではそういった多くの反対意見に対応するのは限界があり、外部のプロに入ってもらうことを提案しました。耳の痛いことも外部なら、きちんと理論的に整理し、説得してくれる、こういったことの繰り返しで、説得に相当の時間はかかりましたが、実施に漕ぎつけました。外部のアドバイスで“改革”の為の活動がスタートすると効果が出始め、徐々に多くの人が手ごたえを感じるようになったと思います。これで、ある程度は継続できるなと安心したのを記憶しています。現在、私が中小企業等、色々と経営のアドバイスできるのもその時の経験や“親”の時の外部コンサルとの一緒に仕事をした経験がベースになっていると思います。外部の力を借りて、「会社のあるべき姿」や「会社変革の具体的な施策づくり」に繋がりました。なかなか、文字で伝えることは難しいですが、本当に失敗と感じたときは悩み、苦しみましたね。
・失敗から学んだことをまとめてみると、次のようになります。
ア.“変革”はそう簡単ではない。現状を十分把握し、十分幹部と分かり合い、進め方を合意しない限り、“変革”は成功しない。
イ.変革マインドは、上層部から仕掛ける。
ウ.現場や社員の方へのやる気を上げるためには、キーになる課長クラスの管理職への教育が効果的。職場の風通しを良くするオフサイト合宿研修の具体的内容はBlog14で紹介していますので、確認いただけると幸いです。
いかがでしたか?わかってもらおうとちょっと書き過ぎたかもしれません。申し訳ないです。さて、持論ですが、取締役が真剣に会社が良くなるよう考え、行動される方だと、本当に良くなるんだということを多くの会社で見てきました。現状を分析し、どういう施策を実施するかは会社によって異なりますが、外部のコンサルを活用することも一つの手です。ご検討いただければいかがでしょうか。
次回は、もう一回、取締役として自分が実施してきたお勧めしたい事例などをこの取締役シリーズの最後として紹介します。今回もお読みいただき、ありがとうございました。ガバナンス・コンプライアンス担当講師の髙井でした。
ガバナンスコンサルタント / 語り合うコンサルタント
髙井 清司
▶髙井 清司 先生 プロフィール
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トータルプロデューサー / 課題解決コンサルタント
安田真浪
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※安田がプロデュースする取組み、考察ページです。ご参考までにお読みください。
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