2024.11.28 ガバナンス・コンプライアンスコンサルティング中堅企業五人衆内部統制課題解決髙井 清司
みなさんこんにちは、安田です。
トライアングル・トラストのスペシャル専門家チーム「五人衆」ブログを、3月2日から公開しています。
今回は、ガバナンスコンサルタント 髙井清司先生の第16回、
テーマは「取締役って何だろう(その2)」です。
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ガバナンス・コンプライアンス担当講師の髙井です。今回は、Blog15の「取締役って何だろう。」の続編として、私の取締役当時を思い出しながら、皆さんの参考になりそうな内容をお届けします。次のような流れでお話しします。
1.はじめに |
2.私が思う取締役の仕事とメリット・デメリット |
3.取締役として“変えたい”と思ったこと |
4.取締役としての失敗と反省 |
5.取締役として実施したことお勧めしたいことの事例 |
6.お勧めの書籍など |
今回は、上記の項目1.~3.までお話しし、次回、項目4.~6.をお話しします。
・はじめに
●私は、欧州への出向から戻った翌年、52歳の時の健診でエコーで膵臓に腫瘍が見つかり、愕然としましたが、精密検査の結果、良性腫瘍と診断され、一旦は、事なきをえました。しかし、大学病院では、良性判断でも進行がん化する症例が増え、がんを回避する為に手術を勧められました。サラリーマンとして年齢的にも重要なタイミングであった為、家族や会社トップと相談し、結果、手術することになりました。その判断が良かったかどうかは、たらればになってしまうので、わかりません。膵頭部十二指腸切除という手術がドクターXの大門未知子も最も難易度の高い手術と言っているように、12時間以上もかかった大手術でしたが、無事終了。その後、長い長い入院生活が待っていました。自宅療養も含めると半年近くも仕事から離れていたことになります。手術から3年、子会社の取締役に推挙され、総会を経て、取締役になりました。親から子に異動した“落下傘”ですね。子会社とはいえ、連結で1.6万人の大会社、まだまだ、健康面での不安もありましたが、気持ちを新たにし、チャレンジすることになりました。自分の強い意志でやっていきたいと思ったことは、“変える!”ということでした。
●その会社の長所、短所を私は、次のように思いました。これは直感です。それを十分、理解しながら、“変える!こと”を幹部の面々と合意して進める。それをいい方法だと考え、実践するつもりで、資料作りからスタートしたのですが、すぐに“壁”にぶつかりました。どんな壁だったかは次回、お話ししましょう。4.の項目で述べます。
<長所>まじめ・素直・愚直、ここぞの底力、潤沢な自己資金 |
<短所>待ちの姿勢、自己防衛、“親”への敷居が高い |
2.私が思う取締役のメリット・デメリット
●私が取締役になりたいと思った理由の第一は、好きな仕事を大きな視点で実践できるからでした。それが唯一の理由でしたが、一般的には、取締役については、色々と書かれていますね。ちょっと整理して述べてみます。
<取締役の仕事って何だ?>
主な仕事は次の4つだと思っています。
① 取締役会の運営
・取締役会は会社にとって最重要な会議体ですが、会社法や社内の取り決め(規程類)によって議論される場です。そこでのリーダーシップは取締役の力量によって運営が左右されます。
② 株主総会での対応
・株主総会では、取締役が会社の業績や会社方針を報告し、株主からの質問に対応する場ですが、株主からの信頼を得ることで株主とのコミュニケーションが良くなると言われています。大切なことはより多く株主と会話することだったと感じています。
③ 経営者への助言
・中堅企業では、社長ともう一人か二人の役員が取締役がいるという会社は多いですね。会社を正しく導くためにも、社長の独断的な経営を防ぐためにも、取締役は重要な役割です。言うべきことをはっきりと言う。簡単なことではありませんが、偉ぶらず、丁寧に、簡潔に、繰り返すことを自分も心掛けています。まさに“言い方”が重要ですよね。これはハラスメント防止にも通じることです。
④ 損害賠償責任
・これについては、前回のブログで述べたので、割愛します。
<取締役のメリット>
・先程、「好きな仕事を大きな視点で実践できる」が自分が取締役になれたらいいなぁと思った理由でしたが、多くの文献では、次の4つの項目が多かったです。
ⅰ 定年がない
・これは会社の内規に決めている会社も多く、私も役員定年の年齢で引退しました。役員在任中は、経験、知見を基に会社に貢献できたと自負しています。しかし、定年の無い会社も多いのも事実です。
ⅱ 権限が大きい
・役員という立場で社内の色々な場面で影響力が大きいです。特に方針の決定や戦略の策定においては、中心的な役割を果たすことになります。
ⅲ 大きな報酬が期待できる
・これは会社によって千差万別でしょうが、一般の社員の方より多いのは事実です。逆に、それだけ大きな責任があるので、報酬も多いわけです。責任を果たすべく行動、言動には注意することは言うまでもありません。
<取締役のデメリット>
●では、どんなデメリットがあるでしょう。
ⅳ 雇用保険に加入できない
・取締役になった段階で雇用保険や労災保険の対象外になります。私も退任してからどんな求人があるのかなぁと調べたときに知りました。ずっとあれだけ天引きされていたのにとがっかりした記憶があります。失業保険ももらえません。
ⅴ 労基法が適応されない
・労基法は労働者に対して適応されるので、取締役は対象外。労働時間、休日など法的保護はないです。
ⅵ 責任が大きい
・これは、権限の裏返しですね。
以上、メリット、デメリットについて述べてきましたが、重要なことは「会社が好きで、会社を良くするためには、寝食を忘れ、考え抜ける人、会社に働く社員の方の幸福を常に考える人」それが取締役ですね。また、大きな権限を持つ人ですので、常に自分を律する姿勢が大切です。そういった人が選ばれる会社に是非、なってもらいたいと願っています。
3.取締役として“変えたい”と思ったこと
・私の印象として当時の会社の長所、短所は冒頭で述べました。これは直感でしたが、退任した今でもその直感は正しかったと思っています。私のような“落下傘”取締役は全体の半数以下。なかなか、意見も通らないこともあり、“変えたい”ことを推進していくことも結構大変でした。しかし、まじめ・素直・愚直という長所は理解、納得すれば大きな力を持つ仲間になりますし、ここぞの底力はおおきな戦力になります。しかし、短所である待ちの姿勢を変えること、まず言い訳から入る自己防衛してしまう人が多いこと等やるべきことは自分の中では山積みでした。それをどう考えて失敗しながらやってきたか(項目4~6)は次回にお話ししたいと思います。よろしくお願いします。ガバナンス・コンプライアンス担当講師の髙井でした。
【私の印象(Blog⑬より)】
<長所>まじめ・素直・愚直、ここぞの底力、潤沢な自己資金 |
<短所>待ちの姿勢、自己防衛、“親”への敷居が高い |
ガバナンスコンサルタント / 語り合うコンサルタント
髙井 清司
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