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2025.02.28 ガバナンス・コンプライアンスコンサルティング中堅企業五人衆内部統制課題解決髙井 清司

【ガバナンス・コンプライアンスとは㉒】監査役ってどんな人?(その2)

みなさんこんにちは、安田です。

トライアングル・トラスト専門家 ガバナンスコンサルタント髙井清司先生ブログ

第22回テーマは「監査役ってどんな人?(その2)」です。

 

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今回は、先回に引き続き、監査役にスポットを当て、私の常勤監査役時代に何をしてきたかについて、出来るだけ、具体的にお話したいと思います。

 

① 当時の会社の概要と監査役就任時の状況
●会社規模は国内で6千人、グローバルには16千人の規模。大きな会社でした。非上場でしたが、会社法で決められている大会社、公開会社は社外監査役が必要な会社でありました。私が就任時から社外監査役が必要になったので、人選も含めて、“親”に確認したり、法的な手続きを調べたりで、総会前にすることが多くて大わらわでした。就任時から突っ走っていた感じでした。

●当時の役員体制はというと、取締役は15名(内、海外常駐3名)、監査役3名(常勤監査役1名、“親”の専務が非常勤、公認会計士が1名)で、社外監査役の方には、月一の取締役会と監査役会の出席をお願いし、必要に応じて、業務監査に同行頂くといった活動でした。業務監査の対象は当時、本社の35部署、国内子会社5社、海外子会社14社の計54部門でした。

●総会直後に前任からの引継ぎがあったわけですが、2時間程度の口頭での簡単な説明で、「上手く管理されている会社なので、波風立てず、のんびりとやってください。」とのことで、「はぁ、わかりました。ご苦労様でした。」と答えたものの、これは、“変える”ことばかりだな、やりがいがありそうだ!と思ったのが第一歩でした。

●業務監査ですが、私の就任前は、被監査部門にとって2年に一回監査される頻度でこれでは「良い会社になるのだろうか。頻度を上げ、年一は実施せねば。」と思いました。まずは、監査役方針を決め、取締役会で、活動内容を宣言する準備をしました。自分の行動指針はBlogその21以下のように書きました。常に「良い会社になるにはどうしたらいいのか?」を考えていました。

<私の目標>
「会社をいかにより良い会社にするかを実践できる監査役になる」
「監査役は、取締役が会社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の創出のために、職務執行しているかどうかの監査をすることがミッションで監査基準のキーワードは善管注意義務と経営判断の原則である。」

 

② 監査役としての“変えようとしたこと”
●では、何から変えるか!まず、初めの3ヵ月で「業務監査」を従来の倍のスピードで実施する計画を作り、日程調整し、実行した。そして、その3ヵ月で並行して次の活動内容を検討し、新たに実施することにしました。それは、①社長との懇談(監査役視点での心配事と改善や変更の意見等)を隔週で実施、②従来、会計監査法人からのレポートを入手していただけだが、四半期ごとに会計監査法人との会議を実施すること、③内部監査部門との連携強化。この三つの施策を社長、会計監査法人と監査部部長に申し入れ、了解を取り付け、活動を即開始しました。特に社長との懇談では、社長からの要望も伺うことで報告だけでなく、双方向での議論になるよう努めた。数か月経つ頃には経営上の懸念や不安な面をフランクに懇談できるようになり、監査役としての活動もしやすくなったことは言うまでもありません。

●監査役の業務監査ですが、精力的にこなすことで、業務監査のインターバルが年一で回るかどうか判断することにしました。監査の事前準備として過去数年の年度計画内容、質問表づくり、部長以下数名との面談(監査役監査)、アドバイスも含めた監査調書づくり、今後の進め方についての面談、監査調書の配布(社長以下役員に)。これらを1週間でこなすのは大変でしたが、何とか3ヵ月で12部署の業務監査をすることが確認でき、従来の2倍のスピード(全被監査部門を年一で監査)で計画立案し、取締役会で報告しました。ただ、その期間でも週一の経営会議等、重要な公式会議体にも出ねばならず、走り続ける状況で、効率化しながら業務のスピードアップは必須でした。とても「のんびりやってください。」という状況ではなかったですね(笑)。

 

③ 監査役業務の質的向上
●監査役としての私の目指すことは「会社を良くすること」です。その為の施策は会社によって違うでしょうが、考えうる施策を常に考え、監査役視点での優先順位も決めながら、進める、これがポイントの一つだと思っています。一方で、モチベーション維持は大切で、私は時間を見つけては、社内でより多くの人と話をするよう心掛けました。これは深刻に考えすぎない予防だと思っています。そうしないと、つぶれてしまいますね。やはり、コミュニケーションは大切ですよ。

業務監査の質を向上させる手段として“フォローアップ”を導入しました。調書発行後、3ヵ月経過したときに調書で指摘、アドバイスしたことがどう取り組まれているかを1時間程度、部長と“face to face”で確認することでした。加えて、次の年度計画に指摘事項を織り込んでもらうことをお願いし続けました。年度計画であれば部としてのコミットですからね。そういったPDCAをより早く回すことで「会社を良くする」監査役の活動に近づけると考えていました。

●海外の子会社も本社と同じように監査を実施することはスケジュール的に思った以上に大変でしたが、“親”での勤務時代に12年海外勤務したことは役立ちました。また、海外は地域毎に監査を全ての子会社を1週間で実施し、効率的に進めました。

●会議の議事録が大切ということは、以前のBlogでも述べましたが、取締役会や経営会議等の重要な公式会議体の議事も発行前の事前確認もさせてもらうことにしました。これは重要だと思います。

 

④ 会計監査法人との連携強化
●従来、会計監査法人と監査役との関係は緊密ではなかったのですが、会計のプロとの議論は大変有益です。多少、説得も必要でしたが、彼らも株主総会時の会計監査報告の質も向上できるので、実のある議論が出来たと思っています。また、社長・主要取締役・監査役をメンバーに「経営者懇談会」を年一で実施することにし、これも監査役の発言力を認識してもらうことに一役買いました。また、監査役会には、会計監査法人の選解任権を有するので、会計監査法人との日頃のコミュニケーションは大切と認識しました。

 

⑤ 内部監査部門(監査部)との連携強化
●内部監査部門も業務監査やテーマ監査を実施しています。被監査部門も同じ内容であるなら、重複だと文句も出ます。従来、さほど連携がなかったので、効率アップとレベルアップを狙い、連携しながら、監査役と監査部の監査計画を明確にするとともにルールとして社内規程も変更しました。内部監査部門との連携は大変重要なので、週一で会議を設け、情報や進め方の共有に努めました。まさにチーム監査役ですね。

内部統制の推進、徹底は、監査役だけでは実施は難しく、基本方針の検討や実施事項は経営企画、監査部との連携は必須でした。会社として毎年4月に、内部統制方針とともに1年の実施項目を一覧にし、取締役会に付議、決議しています。内部統制についての詳細は、別途、Blogで述べたいと思います。

●監査役には「会社を良くする」というミッション遂行のために、各部、本社部門、子会社の業務監査や取締役との日頃のコミュニケーションを通じ、取締役の善管注意義務、正しい経営判断がなされているか等の履行状況を判断するという大切な仕事があります。この仕事の推進の為に、“親”がやっていた役員の『職務執行確認書』を導入し、毎年、役員にサインして、常勤監査役に提出してもらいました。これも、監査部スタッフに事務処理ではお世話になっていました。

 

⑥ 最後に
●今回は、私が監査役として実施した新たな活動(業務監査のPDCAサイクルのスピードアップ、社長との懇談、会計監査法人との連携強化、監査部との連携強化)について述べてきました。参考になったでしょうか。次回は監査役シリーズの最後として、私の講師の担当分野である「ガバナンスとコンプライアンス」について監査役視点で述べたいと思います。今回もお読みいただき、ありがとうございました。ガバナンス・コンプライアンス担当講師の髙井でした。

 

ガバナンスコンサルタント / 語り合うコンサルタント

髙井 清司

 

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トータルプロデューサー / 課題解決コンサルタント

安田真浪

 

 

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