2025.01.23 ガバナンス・コンプライアンスコンサルティング中堅企業五人衆内部統制課題解決髙井 清司
みなさんこんにちは、安田です。
トライアングル・トラストのスペシャル専門家チーム「五人衆」ガバナンスコンサルタント髙井清司先生ブログ
第20回テーマは「取締役会の職務とは」です。
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今回は、ガバナンス・コンプライアンス路線に戻って「取締役会」にスポットを当てて、お話ししたいと思います。取締役会のメンバーは取締役と監査役です。ちょっと前のブログ15と16で「取締役ってなんだろう(その1、2)」を書きました。まず、おさらいでざっと目を通していただければと思います。そして、ブログ15では、「取締役ってなんだろう」のまとめを書いているので、キーワードを認識していただきたいので、もう一度、繰り返します。
・取締役は、会社から経営を委任された大変重要なポストです。
・取締役の義務は「善管注意義務」と「忠実義務」です。「善管注意義務」に関しては、リスクマネジメントとして、「経営判断の原則」を認識しておくべきである。
・取締役の責任・義務を明確にしておくために、「職務執行確認書」を毎年取り交わしておくと良い。
・取締役の職務として上記の3つが重要で、社員の方から、「うちの取締役は、歩くガバナンス・コンプライアンスだよね。」と言われるように日々努力すべき。一方、常に経営判断を強いられるポストで、多くの情報、報告を最大限活用し、ベストな結論を導き出さねばならない。それが取締役です。
・相応しい取締役を指名することは会社の重要な決断である。人選に当たっては、私見ですが、四六時中、経営のことを考える人、会社の為に、経営を考えることが楽しいと感じる人が選ばれればいいですね。
そういった取締役が出席するのが、今回テーマの「取締役会」です。お話の流れは、取締役会の職務を中心に述べていきます。
《取締役会の職務》
・会社法では、取締役会の職務として、社長(代表取締役)を選び(選定)とその任を解くこと(解職)と合わせて、次のことを規定しています(会社法362条2項)。
・業務執行の決定
・取締役の職務の執行の監督
《①業務執行の決定》
・では、①②について、見ていきましょう。実際には大部分の業務執行の決定は代表取締役に委譲されますが、会社法に規定されている事項(362条)や会社の定款に規定した事項、総会決議によって委任された事項等、取締役会で決定しなければなりません。
・取締役会の決定は、取締役の過半数が取締役会に出席し、出席した取締役の過半数の賛成による決議によって行われます。尚、決議に特別な利害関係を持つ取締役は決議に参加できません(362条2項)。決議に参加した取締役は、当然ですが、賛成の判断について善管注意義務があります。また、該当する決議によって会社に損害が発生した場合は、賛成の判断について善管注意義務を尽くさなかった取締役は連帯責任として会社の損害を賠償する義務を負うことになります。ここで私が大切だと思っているのは議事録です。取締役会に参加して決議に反対した取締役は議事録に反対したことを記載しておかないと賛成したものと推定されてしまいます(369条5項)。取締役会議事録はどの会社でも重要な永久保存の公式文書だと思います。また、正式になる前に、当事者である取締役には回覧されて異議申し立てができるようになっているはずですので、確実に確認する必要があると思います。取締役会に何らかの理由で欠席した取締役は決議とは無関係となりますが、取締役が正当な理由なく取締役会に欠席すること自体が取締役としての職務怠慢です。100%出席が当たり前と認識せねばと思っています。会社法に関することなので、堅苦しく、まわりくどい記述になってしまいましたが、仕方がないですよね。これが厳密なルールだと思わざるを得ません。次は②の「取締役の職務の執行の監督」について述べましょう。
《②取締役の職務の執行の監督》
・取締役会で決定された業務執行は、取締役会で選ばれた代表取締役(社長)と代表取締役以外の業務執行取締役が行います(363条1項)。それに関して、わかりやすく説明している文献があったので、引用して紹介します。
・「その決定が適切に実行されないと、会社ガバナンスの目的である効率性と公正性の確保は実現できない。それゆえに業務執行を担当する代表取締役と業務執行取締役が取締役会において決定されたことを適切に実行しているかは、会社にとって極めて重要なことであり、取締役会による業務執行の監督は、取締役会の業務執行の決定と並ぶ重要な意義を有する」(この2つの文章は落合誠一氏の商事法務から引用)
・堅苦しい説明で恐縮ですが、取締役会は決定事項の確実な執行とその監督が最重要な内容です。しかし、私の経験からそればかりを念頭に行動すると知らず知らずのうちにぎすぎすした関係になるような気がします。会社を健全に目指す方向に成長させるためには、何でも議論できる関係であることは大切な条件でないかと思います。加えて、昨今は社外取締役や社外監査役もいますので、必要最小限の情報提供でいいのではとか、聞かれたことだけの報告にしないと足元をすくわれるといったこともたまに聞きます。では、最重要な取締役会を開かれた活気のある会議にするためには、どうしたらいいか。その点について私見を述べたいと思います。
《取締役会の活性化の鍵はなんだろうか》
・私は、中堅規模の会社へのアドバイスとして、まず、「方針体系、計画体系の見直し」と「頑張った人を公平に評価」の2つから始めています。その経営方針の見直しをしつつ会社方針や計画の承認、進捗フォローは取締役会の議題の一丁目一番地だと思います。取締役会の定例議題ですね。それと取締役の業務執行状況の報告もスケジュールを決めて定例議題にすべきと思います。
<方針体系>
ミッション→ビジョン→経営戦略→経営計画→部門計画(計画はPDCAを回す)
・それと社外役員のためにシンプルに分かり易く状況を説明する努力は必要です。厳しい案件も極力オープンにして解決のアドバイスももらえるような状況をつくること。それも開かれた活性化に繋がると思います。また、会社を良くするための真摯な発言は共感を生み、活性化に繋がると信じています。最近は、取締役と執行役員と分けられている会社が多いと思いますが、執行役員の会議体も取締役会と相乗効果が生まれるような工夫が必要でしょうね。では最後に今回の「取締役会」のまとめをしておきます。
《まとめ》
・取締役会の職務は①業務執行の決定と②取締役の職務の執行の監督である。
・取締役会議事録の確認は大切。
・取締役会は100%出席する。
・取締役会の定例議題は会社の方針、計画のフォローアップや取締役の業務執行の報告。
・取締役会の活性化の検討や工夫を常時実施する。
・社外役員から適切なアドバイスをもらえるよう、常に努力する。
・執行役員の会議と取締役会が双方、レベルアップする努力が必要である。
次回は取締役会において監督をする重要なポストである監査役について述べたいと思います。私も4年常勤監査役をしましたので、経験に基づいたお話ができるのではないかと思います。今回もお読みいただき、ありがとうございました。ガバナンス・コンプライアンス担当講師の髙井でした。
ガバナンスコンサルタント / 語り合うコンサルタント
髙井 清司
▶髙井 清司 先生 プロフィール
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トータルプロデューサー / 課題解決コンサルタント
安田真浪
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