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2024.09.26 ガバナンス・コンプライアンスコンサルティング中堅企業五人衆内部統制課題解決

【ニューリーダーを育てる五人衆(52)】ガバナンス・コンプライアンスとは⑫

みなさんこんにちは、安田です。

トライアングル・トラストのスペシャル専門家チーム「五人衆」ブログ、

今回は「内部統制」担当のガバナンスコンサルタント 髙井清司先生の第12回です。

テーマは「私のノンフィクションの作文」です。

 

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ガバナンス・コンプライアンス担当講師の髙井です。

今回は、予告致しました私のノンフィクションの作文を読んで頂きましょう。

小説と書けないのは、やはり、照れですかねえ。内容は、いかに社内で連結経営を理解してもらおうと考えた“道具”

でもありました。どんな分野でも浸透させることは知恵と工夫が必要ですね。では、一部紹介します。髙井オリジナ

ルの架空の会社、架空の主人公、橘浩平が連結経営を実践する物語の一部を次回紹介します。100%髙井オリジナ

ルで、主人公は橘浩平、会社は架空です。お読みいただければと思います。よろしくお願いします。

 

 

橘浩平は、4年前(2002年)を思い出していた。あれは、日韓で共同開催したサッカーのワールドカップの年であっ

たが、テレビ観戦もできず、事業部や傘下の各グループ会社の利益・資金目標づくりに明け暮れていた。その年は、

JEC持株会社発足の年であり、JECグループ内でそれまでのマネジメント体系が大きく変わり、従来の損益(以下P/L

と略す)に加え、新たにROAやキャッシュフロー(以下C/Fと略す)といった概念が登場した。

橘浩平は、JECオートモーティブ(株)経営企画室の新任課長であり、5人のスタッフとともに、社内事業部および

傘下のグループ会社への目標設定や実績のフォロー等の仕事をこなしている。JECでは将来の本格的なグループ経営

到来を想定し、それに備えるためにプロジェクトを発足させたのは、10年も前のことだ。ソニーや松下に比べれば、

連結対応の検討着手は若干遅れたものの現在の組織、仕組み、システムは、ほとんど、当時の検討結果のままで機能

している。JECグループは、主要事業会社として、JEC電機産業、JECオーディオ、JECエンタテイメント(ゲーム

業界)、JECオートモーティブ(通称オートと呼ばれており、以下、オートと略す)の4社がある(図1参照)。オー

ト以外は、言わばJECグループの既存事業であり、“金の成る木”という位置づけで、その資金を後発のオートにつぎ

込み将来の成長を期待している。今や、ハイブリッド車や電気自動車が現実のものとなり、車のエレクトロニクスは、

情報通信系と複合事業となり、かなり魅力のある事業のドメインと言える。

 

 

(図1)JECの持株会社発足時の組織変更(2002年)

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大きく表示されます

 

 

年度計画に際してJEC(持株会社)から提示された目標は、かなり無理をしなければ手の届かないものであった。

橘は、営業や事業部、それに5社のグループ会社から出てきた年度計画を綿密にチェックした上で、連結処理をして

みた。予想していた通り、与えられた目標との乖離が大きい。P/L上での利益は目標とほぼ同等であるが、これで

は年々ROAが低下するばかりか、P/L上でも減価償却が重み、利益が出にくい体質になってしまう。同時に、

C/Fの落ち込みについても大きな見直しの必要性を感じていた。社内に見直しの号令をかけるにしても、まずは轟

社長に積みあがった年度計画の報告をしておこう。

 

 

 火曜の早朝、橘は積上げ結果とともに、いくつかのシナリオに基づいたシミュレーション結果の資料を小脇に抱え、

社長室のドアをノックした。

「どうだ。満足出来る計画になったかな。」

「売上と当年の利益はまあまあですが、C/Fはここ数年マイナスが続くことになります。この内容で持株会社との

“契約”にこぎつけるのは難しいと考えます。」

「それだけを言いに来た訳ではないだろう。」

「はい。われわれの営業の計画ですと、リーディングカンパニーのⅮ社に勝つために、かなりの商品を短期間で立ち

上げるための設備投資と、思い切った価格ダウンが織込まれた計画になっています。そのため、研究開発費が前年に

比べ3割もアップしていますし、在庫が増えるとともに、売掛債権の回収期間も伸びています。」

「で、どうする。」

「われわれオートは、“草創期”という位置づけでありますが、手を広げ過ぎて、虻蜂とらずになっても危険です。こ

こはひとつ、新たな商品ごとに今後やるか捨てるかを吟味する緊急会議を行い、計画を見直すべきかと思いますが。」

「間に合うのか?」図2参照

 

(図2)企業ライフサイクルとキャッシュフロー

 

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大きく表示されます

 

 

「営業・開発・製造と主だった部長さんには、既に状況を説明し、打診していますので、何とかなるのではと思います。」

「橘君、君が言うように、確かにオートは企業ライフサイクル的に考えれば、“草創期”だ。そのため、設備投資のため

に多少のC/Fがマイナスになるのは仕方ない。しかし、このレベルを続けることは、上から“待った”がかかるばかり

でなく、危機感を覚えるよ。今年度も毎月の各部報告を見て、心配していたんだぞ。」

「はい。」

「橘君、その緊急会議には私も出よう。声をかけてくれるか。」

「わかりました。すぐにご案内を差し上げます。失礼致します。」

「橘君、ちょっと。そもそもキャッシュフロー経営の原点とは何だと思う。」

「急に言われましても…」

「私はねえ、より多くの社員がキャッシュに対する感性というかセンスを高めることだと思う。これは、企画畑の連中

だけでなく、営業や開発・製造を含め全員だ。小さい頃、少ないおこづかいをやりくりしたあの感覚を忘れないことだ

と思っている。」

「なるほど。おこづかいですかぁ。また、年度計画が一段落し次第、連結マネジメントに対する理解・浸透策を考えた

いと思います。失礼致します。」

 

以上です。ずっと以前の私の書き物を引っ張り出して紹介いたしました。いかがでしたか?年の皆さんも新たな難しい

施策を提案する時に、社員の多くの方の共感を得られることが大切だと感じてみえると思います。こういったビジネス

のシーンに行動すべきことを書き物にするという手もありますよということでお出ししました。2000年の古い作品

で申し訳なかったですが、お読みいただき、ありがとうございました。次回は、そういった共感を得て行動に移せるリ

ーダーの育成についての私見を書いてみたいと思います。

では、また、このブログでお会いしましょう。ガバナンス・コンプライアンス担当講師の髙井でした。

 

 

ガバナンスコンサルタント / 語り合うコンサルタント

髙井 清司

 

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