2024.08.23 コンサルティング中堅企業五人衆課題解決高橋 康友
みなさんこんにちは、安田です。
トライアングル・トラストのスペシャル専門家チーム「五人衆」ブログを、3月2日から公開しています。
今回は、中小企業診断士 高橋康友先生の「中堅企業をめざす」ブログ第9回「中堅企業が世界標準をつくる」です。
高橋先生には、中堅企業をめざす企業支援をしていただいております。
それでは、高橋先生よろしくお願いいたします。
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2024年7月10日の日本経済新聞に
「ルール勝者、世界制す」というタイトルの記事が掲載されていました。
2024年6月にフィンランドで開かれた工場の安全技術の国際標準を巡る会議において、
日本の安全技術の取り組みが支持され、ルール作りでは欧米が優位のなか、
日本が多くの賛同を集めることができたという内容です。
人間がロボットと協業する時代に向け、各国が安全技術のルールを競うなか、
日本は音や光によりロボットの接近を知らせる技術などを考案し標準化を提案しました。
日本の代表団を率いたのはスイッチメーカーのIDEC(アイデック)株式会社様です。
45兆円のトヨタ自動車など大企業もいる代表団を、
売上高700億円の中堅企業がリーダーとなって率いたのです。
交渉団を束ねた同社の藤田敏弘名誉顧問が考えた要諦は
仲間づくりを進め有利な土俵を作ることだったとのことです。
ドイツ連邦労働安全衛生協会などを回って関係を構築し、
その会議後も安全技術で影響力の大きい国際労働機関(ILO)の事務局長を訪ね握手を交わしました。
ILO事務局長が一介の日本企業の幹部と会うのは異例なことだそうです。
藤田氏には苦い教訓がありました。
1990年に産業用スイッチングが知らぬ間に欧米主導で標準化され、自社規格は除外されてしまった結果、
市場シェアは激減し、2001年度に売上高は除外前の6割までに減ってしまいました。
「ルールを作れなければ勝てない」ことを痛感され、戦略を転換されました。
産業用ロボットや工作機械などで使用される、イネーブルスイッチと呼ばれる緊急動作停止スイッチがあります。
そのイネーブルスイッチの技術を2003年に新規格として提案、根回しを徹底することによって
2006年に新たな国際標準とすることに成功しました。
その結果、イネーブルスイッチにおける同社の世界市場占有率は90%を超えていると推定されています。
国際標準となったのは、同社の独自技術があったからこそといえます。
従来のイネーブルスイッチでは、突発的な緊急事態において安全性に疑問がありました。
同社は、軽く握った状態から握りを弱くしても、逆に強くしても、スイッチがオフ状態になり機械が停止し、
その後に握りを強くした手を緩めてもオフ状態を維持することができる安全性の高い
新たなイネーブルスイッチを開発することができました。
自社の技術を活かす事業戦略として、国際標準を主導する立場となって市場拡大を目指す「標準化」と、
特許などの知的財産権を武器として市場独占を目指す「独占化」の2つを挙げることができます。
IDEC株式会社様の事例は「標準化」の成功事例となります。
中堅製造業の技術戦略は「標準化」と「独占化」の二刀流が理想であり、
使い分けて世界市場で勝ち残っていくことが望まれます。
中小企業診断士
高橋 康友
▶高橋 康友 先生 プロフィール
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