2024.06.20 イノベーション下 俊久中堅企業五人衆技術開発課題解決
みなさんこんにちは、安田です。
トライアングル・トラストのスペシャル専門家チーム「五人衆」ブログを、3月2日から公開しています。
今回は、「イノベーション支援」担当の企画・開発コンサルタント 下俊久先生の第5弾です。
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こんにちは、技術・開発サポート担当の下(しも)です。
本日もよろしくお願いいたします。
▶新テーマ、成否のカギは、○○にあり
今回は、長年取り組んできた新テーマ創出について、全体のお話をしたいと思います。
自分の職歴紹介も兼ねた、ブログのテーマは今回で終えて、次回からは、イノベーションに対する考えや気になるポイントなどを紹介していきます。
本社の研究開発部門に異動してからは、材料開発と新テーマ創出活動に取り組みました。
その経験から振り返って、成功するものとうまくいかなかったものの違いは、何だったのかと考えてみることにしました。
▶テーマ創出は、ニーズ主導か、シーズありきか
これは、開発現場ではよく言われることで、プロダクトアウトになっていないかあるいは、マーケットイン、顧客第一で考えていますかと。
よく考えると、この二元論で話を決めるのは正しい判断ではなく、プロダクトアウトがダメならスマホの時代は来なかったでしょうし、また顧客のニーズに従って、ヒットを飛ばした商品は、山のようにあります。どちらがスタートでも、反対の側から見たその製品や技術に、価値があるかどうかがポイントだと思うのです。
▶シーズ主導での陥りやすい罠
ニーズとシーズ、どちらが出発点でも、成功の可能性はありますが、シーズ主導で行く場合は注意が必要です。
あるシーズ技術を基に改良、あるいはほかの技術と組み合わせることで、新しい価値を持った技術が誕生する。これは、前回、「開発はコンセプトが肝」でお話しした通り、技術開発を進める上で一番大事なところです。ところが、コンセプトが思い描けても、これがニーズからきていない場合、あるいはニーズから来ていても、ぼんやりとしており、具体的な困りごとにフォーカスしていないニーズの場合、研究開発に着手してしまうと技術開発の成果に関心が移ってしまい、技術者が技術課題を解決することに邁進してしまうということが起こります。私もそうでした。自分の工夫とアイデアが、技術の進歩に貢献するなんて、技術者冥利に尽きるというものです。
そしてこのような場合、仮に技術開発が成功しても、それをどうやって量産するの?製品にコスト競争力はあるの?という話になって、結局棚入れという、なんとももったいない結果につながるのです。
▶ニーズ主導で必要な武器
反対にニーズ主導の場合はどうでしょう。世の中は、環境への関心が高く、CO2削減は最も重要なテーマです。例えば、その一つの解決策は、自動車のEV化、では拡大するEV市場に向けて、わが社も新製品を投入して、新事業につなげよう、っていう動きをいろいろなところで聞きますよね。
自動車部品は手掛けていても、EV車の部品は手掛けておらず、EVシステムの課題や、将来像もわからない状態で、どのようにテーマ創出していけばよいのでしょう。他社も皆、同じことを考えているのです。
立ち止まって考えてみましょう。これまで長年にわたり厳しい競争に勝ち残ってきた、メーカとしての強み(武器)は何でしょうか。
必ず強みがあるはずで、それをうまく活かして他社にない魅力を描くことができるかが、成功のカギだと思うのです。
▶新テーマ、成否のカギは、シナリオにあり
冒頭の答え合わせは、シナリオでした。
コンセプトがあってシナリオがあって、混乱してきましたね。
コンセプトは先回のブログで書いたように、『開発という新しい価値創造の行為に対し、どのような考え方、着想をもって取り組むかという具体的な実現手段を示す言葉』というのが筆者の理解です。そしてシナリオは、辞書で引くと、「筋書」とか「脚本」、ここでいうシナリオは、『開発の実現手段であるコンセプトをどのように活かし、事業としての成果につなげるかを描いた、台本である』と定義させていただきましょう。登場人物は、経営者から開発担当者、取引先、そしてお客様、開発に関わる全ての人と、会社のステークホルダー皆さんにとっての台本です。
一番大事なことは、まずこの台本を、白紙のページなく、すべての章を埋めること。そして、埋めた台本を経営陣と開発陣で、しっかりキャッチボールしたのちに、開発行為に移ることだと思います。白紙のページがなくなるということは、どこかのステップで、棚入れするということもなくなるでしょう。
さらに、この台本にはもう一つ特徴があります。コンセプトは“拠り所”としてしっかり考え抜くことを強調しましたが、台本、シナリオは、書き換え可能です。その時その時の局面に応じて最善と思われるものにバージョンアップしていけばよいと思います。
世の中の変化に対し、いくら考えても、成果につなげられるシナリオが描けないときは、方針の見直しのタイミングなのだと思います。
▶VUCA※時代の開発に向けて
※VUCAとは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」 の頭文字をとったもの。変化が激しく、不確実な要素が多い状況からVUCA時代という使われ方がされている。
変化が激しく、先行き不透明な時代だからこそ、成果につなげられるシナリオを描くことができるチームやシナリオライターを養成することが大事になると思います。
そのためにやる施策は?
トライアングル・トラスト五人衆で、サポートいたします。
企画・開発コンサルタント / あかりを灯す案内人
下 俊久
▶下 俊久 先生 プロフィール
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