2026.01.01 採用支援
こんにちは、安田です。
2022年、文部科学省・厚生労働省・経済産業省によるいわゆる「三省合意」により、インターンシップの基本的な考え方や定義、進め方が整理され、就職・採用活動の枠組みが見直されました。
今回の安田イムズでは、この三省合意によって実際に何が変わったのか、そして何が変わっていないのかを確認していきたいと思います。
果たして、三省の思惑通りに進めることが出来ているのか……。
今回は、内閣府が公表している「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査結果」をもとに見ていきます。
本調査は、就職・採用活動の円滑な実施および若者の安定的な雇用に資することを目的に、学生の意識・行動の実態を把握するため、内閣府が毎年実施しているものです。
今回は、2025年12月の結果が未発表のため、2024年12月公表分をもとに整理します。
有効回答数は5,045名(大学4年生:3,570名、大学院2年生:1,475名)です。
🔍1.就職・採用活動時期に関する認識-----
現在の政府ルールでは、
・広報活動開始: 3月1日以降
・採用選考活動開始: 6月1日以降
・正式内定: 10月1日以降
とされています。
この日程について、約5割の学生が
「前年の就職活動情報が参考になった」
「予定を立てやすく準備・行動ができた」
と回答しています。
一方で、「就職活動が比較的短時間で済んだ」という設問に対しては、約5割が「そう思わない」と回答しており、活動の長期化が伺えます。
📌2.企業説明会やセミナーへの参加時期-----
説明会等への参加時期のピークは、卒業・修了前年度9月以前が27.5%(前年21.2%)と約3割に達しています。
特に「採用を目的にしたもの」では10.3%(前年7.1%)と、前年から増加しています。
📌3.採用面接の実施時期-----
最初に採用面接を受けた時期は、卒業・修了前年度9月以前が2020年度以降、年々増加しています。
・2月までに約7割
・4月までに約9割
の学生が面接を経験しています。
また、採用面接のピークも4月までに集中しており、1-2月の割合が増加しています。
📌4.内々定を受けた時期-----
月別では4月が最も多いものの、12月の割合が2020年以降、年々増加しており、早期化が顕著です。
就職活動が「始まった」と考えるタイミングとしては、
・インターンシップ関連:約3割
・就職活動準備:約4割
・就職活動に関する具体的なアクション:約2割
と回答されています。
中でも「インターンシップと呼称されるものに関するウェブサイト登録時」が最も多く、約2割を占めています。
📌5.「インターンシップと呼称されるもの」への参加状況-----
参加経験のある学生は約8割で、そのうち約7割が複数回参加しています。
参加最長日数では、「5~10日」が25.5%と最も多く、前年から大きく増加しました。
一方、半日・1日の短期型は減少しています。
⚠️6.インターンシップにおける実質的な選考の有無-----
「インターンシップと呼称されるもの」に、実質的な選考が含まれていたと回答した学生は53.7%と、前年より増加しました。
また、参加後に
・早期選考の案内を受けた:70.8%
・早期の説明会・セミナーに参加:59.2%
・早期の採用試験、面接を受けた:49.2%
と、いずれも高い割合となっています。
2025年12月26日、就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議は「2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方」を発表しました。
ここで、問題視されているのは、国が定めた日程ルールや三省合意によるインターンシップのあり方と、学生・企業の実際の動きとの乖離です。
▶学生側の動き
学生はできるだけ早く最初の内々定を確保し、その上で本命企業への活動や学業を優したいと考えています。
結果として、就職活動は早期化・長期化し、学業への影響や、複数内々定の長期保持、内定辞退の増加などが指摘されています。
▶企業側の動き
企業は人手不足や労働人口の減少を背景に、優秀な人材に早期からアプローチしようと競い合っています。
▶就職情報サイトの影響
就職情報サイトでは、3月以前の活動を「プレエントリー」「インターンシップエントリー」として切り分けて提供しています。
これが結果的に早期化・二分化を助長している面もあります。
こうした状況を踏まえ、政府は2029年春入社からの日程前倒し案を検討しています。
これに伴い、三省合における「インターンショップのあり方」についても、再度見直しが入る可能性が高いと考えられます。
三省合意は、インターンシップの定義や整理という点では一定の役割を果たしました。
しかし、今回の調査結果が示しているのは、制度を整えても、学生と企業の行動は変わらないという現実です。
学生は「できるだけ早く内々定を確保したい」。
企業は「できるだけ早く優秀な人材に接触したい」。
この両者の合理的な行動が重なった結果、インターンシップは“学びの場”であると同時に、実質的な採用プロセスとして機能し続けているのです。
つまり、問題の本質は、日程ルールや名称の整理ではなく、企業が学生とどう向き合うかにあります。
これから人事・採用に携わる企業に求められるのは、「いつ採るか」ではなく、「この学生と、どんな関係を築きたいのか」を明確にすることではないでしょうか。
三省合意が示した枠組みを“守るか・破るか”ではなく、自社の採用思想をどう設計するか。
そこにこそ、これからの採用競争の分かれ目があると、私は考えています。
制度背景から実務設計までを、段階的に整理しています。
① 2023年制度改正で「インターン」の定義はどう変わったのか ☜
② インターンシップの要件と、オープン・カンパニーとの違い ☜
⑤ 有益なインターンシップは、採用思想から始まる( オープン・カンパニーを軸にした設計論) ☜
~組織づくりが企業を変える!組織の課題解決コンサルティング~
安田真浪
トライアングル・トラストは、組織における各種課題解決のお手伝いをしています。
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