2025.12.29 採用支援
こんにちは、安田です。
今回から「有益なインターンシップとは」をテーマに、考察をしていきたいと思います。
第1回目のお題は、「2023年からインターンシップの取り扱いが変わって・・・」です。
■インターンシップをめぐる制度改正
2022年(令和4年)6月に、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の3省は、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」を改正しました。
これは、経団連と大学関係者で構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が、同年4月に公表した報告書を踏まえ見直したものです。
正式名は、
「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進にあたっての基本的な考え方」といいます。
この改正によって、共通の基本的な考え方や定義、進め方が示され、大学・企業・学生が同じルールでインターンシップに取り組めるようになりました。
■改正後の「インターンシップ」の定義
改正後のインターンシップの定義は、次の通りです。
「学生が仕事に就く能力が自ら備わっているかどうかを見極めることを目的に、自らの関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験を行う活動」
実務体験を含む「就業体験」が中心となる活動となり、ポイントは次の4点です。
1.インターンシップは「キャリア形成支援が目的」
2.企業で実務体験をすることが重要視した
3.学生が自分の適性や興味を深めるための活動である
4.とくに実務体験があるものだけを「インターンシップ」と呼べる
■4つに整理された「キャリア形成支援活動」
今回の改正では、「インターンシップ」は「学生のキャリア形成支援活動」の一部と位置づけられ、次の4つの類型に整理されました。
【タイプ1】オープン・カンパニー
・企業・業界説明や情報提供中心の活動
【タイプ2】キャリア教育
・大学や企業による教育・学習プログラム
【タイプ3】汎用的能力・専門活用型インターンシップ
・実務体験を通じた汎用スキルの習得・評価型
【タイプ4】高度専門型インターンシップ(試行)
・高度専門性が求められる実務体験型(現在試行段階)
この4タイプの中で、「インターンシップ」と位置付けられたのは、【タイプ3】と【タイプ4】のみとなっています。
■なぜ定義を厳密にしたのか
今回の三省合意により、「インターンシップ」は、学生のキャリア形成支援の一つの手段と明確に位置付けられました。
その背景には、本来の定義に当てはまらない活動まで「インターンシップ」と呼ばれてきた実態があります。
たとえば、次のようなものです。
・会社説明会だけのもの
・半日・1日イベント
・採用広報目的の色が強いもの
・実務体験がないもの
こうした活動に対しては、
・学生の学びになっていない
・大学の教育目的とズレている
・採用直結の早期囲い込みではないか
といった批判が強まっていました。
■今回の整理で何が変わったのか
改正後は、次のように整理されています。
・実務体験がないもの → インターンとは呼ばない
・情報提供中心 → オープンカンパニー
・教育的プログラム → キャリア教育
・実務体験あり → インターンシップ
このように整理されたことで、これまで曖昧だった「グレーゾーン」が明確に線引きされました。
■「取組」という言葉に込められた意味
私が気になったのは、「キャリア形成支援に係る取組」という表現です。
「取組」という言葉には、
・形は問わない
・期間も一律に定めない
・大学・企業・学生それぞれの創意工夫を認める
といった柔軟性が含まれています。
これは、「インターンシップ=採用の前倒し」という誤解を避け、あくまでも“教育的なキャリア形成支援“であることを強調する意図があるように感じました。
国のねらいは、
「採用目的で曖昧に行われてきたインターンシップを、教育とキャリア形成の文脈に引き戻すこと」にあると言えるでしょう。
~組織づくりが企業を変える!組織の課題解決コンサルティング~
安田真浪
トライアングル・トラストは、組織における各種課題解決のお手伝いをしています。
オーダーメイドプログラムで、担当者様と一緒に取り組んでいます。
お気軽にご相談ください。
▶2028卒向けインターンシップ構築セミナー
https://triangle-trust.jp/2025/12/15/2028-internship-build-seminar/
▶ 課題解決コンサルティングTRIANGLE TRUST
▶レゴ®シリアスプレイ®特設サイト
https://lsp.triangle-trust.jp/