2026.01.16 人材育成とは
こんにちは、安田です。
前回に続き、「管理職を育てる」というテーマについて考えていきます。
今回は、中途採用者を前提とした管理職育成に取り組むうえで、最初に整理しておきたい重要なポイントを取り上げます。
中途採用者を前提とした「管理職を育てるしくみづくり」に取り組む前に、まず、やらなければならないことがあります。
それは、現・ベテラン層への教育です。
いわゆる「ベテラン社員」とは、多くの場合、50代から60代の方々を指します。
この世代は、
・日本経済が右肩上がりだった、いわゆる「良い時代」を社会人として経験してきた方
・その後に訪れた長い停滞期を、組織の最前線で支えてきた方
そのどちらか、あるいは両方を体感してきた世代だと言えるでしょう。
たとえ停滞期を中心に経験してきた方であっても、子ども時代や若い頃には、社会や組織が成長していく空気を、確かに感じていたはずです。
つまり、好調な社会や組織を「実感として知っている世代」でもあります。
一方で、現在の若手社員が育ってきた時代は、それとは大きく異なる環境でした。
経済は長期的な停滞が続き、「頑張れば報われる」「会社とともに成長する」といった成功モデルを、実体験として持たないまま社会に出てきた世代でもあります。
このように、前提条件が大きく異なる以上、ベテラン層と若手世代の間で、意見や価値観が自然に噛み合わなくなるのは、ある意味、避けがたいことだと言えるでしょう。
そのような中で、ベテラン層への教育において、特に意識しておきたい柱は次の2点です。
・自分が歩んできた道や成功体験を、「絶対的な基準」にしないこと
・他者の意見や考え方を、頭ごなしに否定しないこと
比較的近い年代同士であれば、こうした姿勢は、ある程度自然に共有されることもあります。
しかし、若手世代に対して同じ感覚で接してしまうと、相手の心のシャッターが下り、「この人に何を言っても伝わらない」と距離を取られてしまうケースも、決して少なくありません。
だからこそ、まずベテラン層に理解してもらう必要があります。
それは、
「自分たちが生きてきた時代の成功体験は、当時としては正しかったが、同じ形で再現できるとは限らない」
という事実です。
これは、過去を否定することではありません。
むしろ、時代や環境の違いを正しく認識することが、次の世代を育てる第一歩になります。
最近、企業の中でも「やり手」と呼ばれる○代目社長が、比較的早い段階で次世代へ事業承継を進めるケースが増えているように感じます。
これは、デジタル化をはじめとした環境変化に対して、自分自身のやり方だけでは対応しきれないと、冷静に判断しているからではないでしょうか。
経験や知見は、極めて重要です。
だからこそ、前線に立ち続けるのではなく、後方から次の世代を支える役割へと、立ち位置を変えていく。
私は、50代以上の役割は、まさにここにあると考えています。
若者にすべてを任せる、ということではありません。
しかし、道を譲り、背中を支える覚悟を持つことが、
これからの組織には、これまで以上に求められているのではないでしょうか。
管理職育成を「個人の資質」ではなく、「組織の前提条件」から捉え直す連載です。
~組織づくりが企業を変える!組織の課題解決コンサルティング~
安田真浪
トライアングル・トラストは、組織における各種課題解決のお手伝いをしています。
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