2026.01.02 採用支援
こんにちは、安田です。
この年末年始にかけて、「有益なインターンシップとは」をテーマに、安田イムズで連載してきました。
今回は、ここまでの内容を踏まえ、あらためて主題である『有益なインターンシップの設計』について整理してみたいと思います。
ご参考になれば幸いです。
前回の「有益なインターンシップとは④ ―三省合意後、就職・採用は本当に変わったのか?―☜」では、私なりの見解をお伝えしました。
三省合意は一定の役割を果たしたものの、学生と企業の行動そのものは、大きく変わっていない。
学生は、できるだけ早く内々定を確保したい。
企業は、できるだけ早く優秀な人材と接点を持ちたい。
問題の本質は、制度そのものではなく、企業が学生とどう向き合うのかにあります。
「この学生と、どんな関係を築きたいのか」
ここを明確にできるかどうか、つまり、自社の採用思想をどう設計するかが、これからの採用競争の分かれ目になる。
これが、前回の結論でした。
今回は、その具体策として、「有益なインターンシップ設計」について考えていきます。
そもそも、「有益」とは、誰にとっての有益なのでしょうか。
まずは、学生にとって有益であること。
その結果として、企業にとっても有益になること。
これが、もっとも健全で理想的な形だと考えています。
学生と企業の関係は、5:5(フィフティ・フィフティ)。
相手に価値を提供することで、結果として自社にも価値が返ってくる。
その発想が重要です。
業界や職種が多様化する一方で、学生がそれらに触れる機会は、決して多くありません。
そのため、多くの学生は、
「会社とは何か」
「働くとはどういうことか」
を十分に理解しないまま、就職活動に臨んでいます。
だからこそ、まず必要なのは、会社組織を知るという、基本的な知識です。
そのうえで、
・自分の個性や長所・短所、興味・関心を把握し
・それを職業に照らし合わせ
・業界・職種を絞り込み
・該当する企業を選択していく
これが、本来あるべき就職活動の「キレイな形」です。
1.会社組織とは何かを知る
2.自分の個性や長所短所・興味関を把握する
3.②を職業と照らし合わせる
4.業界・職種を絞り込む
5.該当する企業を取捨選択する
6.就職活動解禁と共にエントリー
この流れをスムーズに進めることは、決して簡単ではありません。
従来は、就職活動の中で失敗や試行錯誤を通じて学び、自分なりの正解に近づけていくこと自体が、就職活動の醍醐味でもありました。
では、今の「あるべき姿」は何か。
それが、①にあたる「オープン・カンパニー」です。
ここが、すべてのスタート地点になります。
だからこそ企業は、「採用活動」の前段階として、まずはオープン・カンパニーに徹することが重要になります。
文部科学省・厚生労働省も、その方向性を明確に示しています。
ここまでは、学生側の視点でした。
続いて、企業側から見たの採用活動の「キレイな形」を整理します。
まず取り組むべきは、「会社とは何か」を理解してもらうための「オープン・カンパニー」の実施です。
そのためには、以下の準備が必要です。
1.採用計画の枠組みを決める
(事業計画に基づき、各部署の適正人員や今後の動向を整理し、募集人数を確定する)
2.求める人物像を明確にする
3.採用計画を社内に共有し、協力体制をつくる
4.採用計画の詳細を設計し、実践する
5.結果を検証し、随時改善する
この②ができるかどうかが、採用活動の成果を大きく左右します。
ターゲット設定では、
・出身地域
・大学のレベル
・家族構成
・育った環境
・学校生活の様子
・学生生活で大切にしていること
などを、できるだけ具体的にイメージします。
そのうえで、
「この学生は何を求めているのか」
「何に反応し、何をもって『良い』と感じるのか」
を明確にし、青写真を描いていきます。
あとは、ターゲットが求めている学び、ターゲットにとってプラスとなる内容を「オープン・カンパニー」のプログラムに落とし込むだけです。
ここで大切なのは、あくまでも「学生にとっての価値」。
エントリーがあるたびに、
・参加した学生は、求める人物像に近いのか
・それとも遠いのか
を確認し、軌道修正を繰り返しながら、ヒット率を高めていきます。
ここでいうヒット率とは、「参加者(分母)」に対して「求める人材(分子)」がどれだけ含まれているのか、という視点です。
※詳しく知りたい方は、別途ご確認ください。
ここまで、
・学生にとっての「有益」とは何か
・企業にとっての「キレイな採用活動」とは何か
・その接点としてのオープン・カンパニーとインターンシップ
について整理してきました。
あらためてお伝えしたいのは、有益なインターンシップは、偶然生まれるものではないということです。
制度が変わっても、学生と企業の行動が大きく変わらないのは、「どう採るか」ばかりが先行し、「どんな関係を築きたいか」という思想の設計が後回しにされてきたからです。
だからこそ、
・誰に来てほしいのか
・その学生に、どんな学びを提供したいのか
・その結果、どんな関係性を築きたいのか
これらを言語化し、プログラムに落とし込むことが、これからのインターンシップ・採用活動には欠かせません。
採用活動は、もはや一社だけの問題ではなく、業界全体、ひいては社会全体の課題です。
学生にとって「参加してよかった」と思える経験をつくること。
その積み重ねが、結果として企業の採用力を高めていく。
本連載が、そのための設計を考える一助になれば幸いです。
採用活動準備の流れと、その中での重要なポイントを説明しました。
大切なのは、目先の採用成果だけを追うのではなく、採用活動そのものが業界全体の課題であるという認識を持ち、プログラムを設計することです。
その視点が、「有益なインターンシップ」を生み出す土台になります。
制度背景から実務設計までを、段階的に整理しています。
① 2023年制度改正で「インターン」の定義はどう変わったのか ☜
② インターンシップの要件と、オープン・カンパニーとの違い ☜
⑤ 有益なインターンシップは、採用思想から始まる( オープン・カンパニーを軸にした設計論) ☜
~組織づくりが企業を変える!組織の課題解決コンサルティング~
安田真浪
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