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2025.12.30 採用支援

[7]有益なインターンシップとは② 『インターンシップの要件』

こんにちは、安田です。

 

先回は、インターンシップについて、その定義が変わったことを紹介しました。今回は、「インターンシップ」と「オープン・カンパニー」の違いについて、制度の背景も含めて整理したいと思います。

 

■【タイプ3】汎用的能力・専門活用型インターンシップの要件

 

まずは、「学生のキャリア形成支援活動4つの類型」の中で、制度上「インターンシップ」と認められる【タイプ3】について、その要件を見ていきたいと思います。

この類型の最大の特徴は、「実質的な就業体験」を必須としている点です。

それでは、主な要件は以下の通りです。

 

1.就業体験要件

インターンシップ実施期間の半分を超える日数を職場での就業体験に充てる。

※ テレワークが常態化している場合、テレワークを含む

 

2.指導要件

就業体験では、職場の社員が学生を指導し、インターンシップ終了後、学生に対しフィードバックを行う。

 

3.実施期間要件

・汎用的能力活用型:5日間以上

・専門能力活用型:2週間以上

 

4.実施時期要件

学業との両立に配慮し、長期休暇期間(夏休み、冬休み、入試休み・春休み)に実施する。

 

5.情報開示要件

募集要項等に、以下の情報を記載し、HP等で公表する。

①プログラムの趣旨(目的)

②実施時期・期間、場所、募集人数、選抜方法、無給/有給等

③就業体験の内容(受入れ職場に関する情報を含む)

④就業体験を行う際に必要な(求められる)能力

⑤インターンシップにおけるフィードバック

⑥採用活動開始以降に限り、インターンシップを通じて取得した学生 情報を活用する旨

(活用内容の記載は任意)

⑦当該年度のインターンシップ実施計画(時期・回数・規模等)

⑧インターンシップ実施に係る実績概要(過去2~3年程度)

⑨採用選考活動等の実績概要 ※企業による公表のみ

 

【タイプ3】は、このように「教育的意義」と「実務体験」を重視した、制度上もっと厳格なインターンシップです。

 

 

■1dayインターンシップは、制度上どう位置付けられるのか

 

2022年6月、文科省・厚労省・経産省の三省合意により「インターンシップの推進にあたっての基本的な考え方」が示されました。

「インターンシップ」とは、本来「教育的意義」を前提とし、その中で「実務体験」を行なうものとされています。

 

ところが、実際には数時間~1日の会社説明会でも「インターン」と呼ばれるようになり、さらに採用選考と実質的に一体化するケースも増えておりました。

その結果、学生・大学・企業の間で認識にズレが生じ、制度の見直しが行われることになりました。

 

この見直しにより、従来の「1dayインターンシップ」と呼ばれていたものは、制度上はインターンシップとは位置づけられなくなりました。

 

 

■【タイプ1】オープン・カンパニーとは?

 

  • 定義

「企業や仕事を知ることを目的とした、選考と切り離された情報提供・体験の機会」

 

主な特徴は、以下の4点です。

・選考なし・評価なし

・短時間(半日〜1日が中心)

・学年不問(低学年参加可)

・採用直結なし

 

企業理解・業界理解のための入り口となる位置づけです。

 

 

■オープン・カンパニー導入のねらい

 

(1)学生にとって

・安心して企業理解ができる

・学業と両立しやすい

・キャリア探索の第一歩になる

 

(2)企業にとって

・採用リスクの低減

・早期接触の健全化

・企業理解の母集団形成

 

 

■まとめ:キャリア形成の自然な流れ

 

「1dayインターンシップ」の名称は、企業にも学生にも長く使われ、広く浸透してきました。

一方で、内容とのズレが大きくなったことから見直しが入り、「オープン・カンパニー」へ名称が変更されました。

 

今回の制度見直しは、「学生のキャリア形成支援」を明確に打ち出したことで、「インターンシップ」を本来あるべき姿に整理すると同時に、段階的なキャリア形成を可能にした非常に前向きな変化だと感じています。

 

あらためて、キャリア形成の流れは次の通りになります。

 

・【タイプ1】オープン・カンパニーで広く企業・業界を知る

・興味や適性が明確になる

・【タイプ3】インターンシップで、実務を通じて深く理解する

 

このステップが、学生・企業双方にとって最も健全な形ではないでしょうか・・・

 

 

■【人事担当者の皆さまへ】制度誤解を防ぐための注意点

 

インターンシップ制度の見直しにより、「オープン・カンパニー」「仕事体験」「インターンシップ」という名称が整理されました。

名称を変えるだけでは、制度違反や解釈のズレを防ぐことはできません。現場で特に注意したいポイントをここで整理します。

 

1.「オープン・カンパニー」は「情報提供・企業理解」の機会

以下の行為は、制度上想定されていません。

・選考を目的とした評価・ランクづけ

・合否や内定を想起させるフィードバック

・実質的な選抜(グループワークでの足切り等)

※学生に「選考」と誤解されない設計が重要です。

 

2.「評価」ではなく、「指導」を

・学生の合否や優劣をつける評価は行えません

・業界や仕事、キャリアについての説明や助言は積極的に行いましょう

※あくまで「学びの場」であることが前提です。

 

3.表と裏がある「グレー運用」は避ける

・就業体験なのに、「オープン・カンパニー」と表記

・会社説明なのに、「インターンシップ」と表記

・表向きはオープン・カンパニー、実態は選考の入り口

※これらは制度上、認められません。

 

 

最後に、「オープン・カンパニー」は、企業と学生の関係性を健全にするために再設計された仕組みです。

制度は完全に定着していません。

だからこそ、企業が正しい理解のもとで学生をリードすることが求められています。

 

 

 

 

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安田真浪

 

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